「ファーストクラスで誕生日を祝ってもらえなかった」企業はどう対応するべきだったか?|クレーム対応ドットコム公式サイト

2018-03-06

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「ファーストクラスで誕生日を祝ってもらえなかった」企業はどう対応するべきだったか?

「ファーストクラスで誕生日を祝ってもらえなかった」企業はどう対応するべきだったか?

全日空(ANA)の国際線ファーストクラスに搭乗した男性客が「誕生日を祝ってもらえなかった」とネット上に投稿し、炎上した問題がありました。この騒動は、男性だけでなく航空会社にとってもイメージダウンにつながりました。では、航空会社はどう対応すべきだったのか。クレーム対応の視点から考えてみましょう。
※本記事は、男性の投稿記事の内容を元に考察しています。

怒り爆発して口コミサイトに航空会社への不満を投稿

話題となったのは、JCASTニュースが報じた以下のニュースです。

ファーストクラス乗ったのに、誕生日祝われなかった! 「泣いてしまいました」男性乗客、怒りの星1つ

炎上の流れをかんたんに説明すると、以下のようになります。

39歳男性が、自分の誕生日に懇意にしている航空会社の国際線ファーストクラスを利用。その際、乗務員が誰も自分の誕生日に気付いてくれず、お祝いを期待していた男性はがっかりしました。

そして飛行機がLAに到着した時、男性は自ら客室乗務員に、誕生日の記念フライトだったことを告白。客室乗務員は謝罪し、あわててお祝いを用意しました。しかしそれが、冷えていないシャンパンと数切れのフルーツ盛り合わせという、その場しのぎのものだったために、男性客の神経を逆なですることに。

後日この男性は一連の出来事を口コミサイトに投稿しました。また、航空会社にメールでクレームを伝え、返ってきた回答もそのまま掲載しました。そして、「定型的な内容で誠意が伝わらない」と怒りを爆発させたのです。

この顛末がニュースサイトで報道されると、インターネット上で大きな話題となりました。多くの意見は、男性側を「最低のクレーマー」などと批判するものでした。

SNS時代における特別なサービスのあり方とは?

ネット上の声は男性への批判が中心でしたが、航空会社にとっても決してプラスとはならない出来事でした。いくつかのまずい対応により、マイナスのイメージを世間に広めることになったからです。では航空会社の対応の何が問題だったのか、考えてみましょう。

まず、ファーストクラスの搭乗者に対するサービスが、不明瞭であるという点。ファーストクラスは、東京―ロサンゼルス間往復なら200万円程度する高価格帯の座席です。ハイレベルな機内食が出たり、シャンパンやワインなどのドリンクが自由に飲めたりといったサービス内容が航空会社のホームページにも記載されています。

また、そのような明文化されたものだけではなく、搭乗者の要望に応えるためにできるだけのことはする、というのがファーストクラスのサービスのようです。

今回問題となった誕生日のサービスについて航空会社は、「お客様とのやり取りの中で、お客様がお喜び頂けることを考え、可能な限り努めています」と回答しています。つまり、顧客の誕生日を祝うこともあるが、必ず実施しているサービスではないということです。

かつてなら、そのような特別サービスは、ファーストクラスに搭乗したことのある人だけが知り得たサービスでした。しかし昨今のようなSNS全盛の時代になると、「知られざるサービス」も世に知られるようになってきます。さらには「標準的なサービス」「あって当たり前のサービス」と思われてしまうこともあるのです。

実際に今回の男性客は、誕生日を祝ってもらうことを「標準のサービス」だと期待していた節があります。しかしそれが実施されなかったことで、期待が外れてしまい、怒りにつながったのでしょう。

特別な顧客に対して、特別なサービスを提供すること自体は問題ありません。しかし、それを「標準のサービス」と認識する人が出てくると、そのサービスが提供されなかった場合に、今回のような問題が起こりうるということです。

クレームに対する下手なフォローが問題を大きくする

さらに、男性客に対するフォローアップもまずかったといえます。

男性客に対して客室乗務員は、急いでお祝いのフルーツとシャンパンを用意しましたが、それが非常にお粗末なものだったために、返って怒りを増幅させる結果となりました。

中途半端なフォローならやらないほうがまだマシだったのです。例えば「今回はご用意できませんが」と謝罪し、後日何らかのお詫びの品を贈るなど、いろいろな策が考えられたはずです。

「知られざる」特別なサービスを提供するなら、一方で、そのサービスを受けられなかった場合にクレームをつける人が出てくる可能性があります。クレームがあった時のフォロー策を、あらかじめ考えて備えておく必要があるでしょう。

特別な顧客に対する謝罪に、メールは不適切

そして最後の問題は、後日クレームがメールで送られてきてからの対応が悪かったこと。

男性客からのメールでの問い合わせに対して、航空会社はメールで回答していたようです。しかもその文面が、定型文を貼りつけただけのような、杓子定規で味気ない印象を与えるものでした。

メールの文面というのは、ただでさえ受け取る側にとっては冷たく感じることもあるもの。謝罪などをメールで送る場合には、慎重に慎重を重ねて言葉を選ぶ必要があります。

このケースでは、メールでクレームが来たとしても、メールで返信するのではなく、電話をするなり担当者が直接会いに行くなりして、丁寧な謝罪をすべきでした。一度のフライトで数百万円を払ってくれる上位顧客なわけですから、それくらいの対応をしても損にはならないはずです。

今回は航空会社側の対応のまずさはあまり目立ちませんでしたが、クレーム対応の反面教師として大変参考になる事例だったと言えます。


 

この記事を監修をしたのは
地村健太郎(ちむらけんたろう)
地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
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