「現場裁量」-クレーム対応に投資している企業が重視していること|クレーム対応ドットコム公式サイト

2017-06-20

C-SOS
auto auto

「現場裁量」-クレーム対応に投資している企業が重視していること

「現場裁量」-クレーム対応に投資している企業が重視していること

クレーム対応に投資をしている企業が重視していることの一つに、従業員の「現場裁量」があります。現場の裁量を拡大することでどのような効果が生まれるのでしょうか? また、現場裁量を大きくする際に気をつけるべきポイントは?


現場裁量の大きさが、感動を生むエピソード

「世界最高峰のサービス」などと称される高級ホテルグループ、リッツ・カールトン・ホテルは、現場の裁量が大きいことでも知られています。

その一例として、リッツ・カールトンでは、各従業員に1日2,000ドルまでの決裁権が与えられているそうです。2,000ドルといえば、日本円にして約22万円(1ドル=112円の場合)。驚くべき額です。

従業員はこの2,000ドルを、お客さまの問題を解決したり、要望に応えたりするために、自由に使えます。たとえばこんな逸話があります。

大阪のリッツカールトンに泊まったお客さまが、会議に使う重要な書類を部屋に忘れたまま、東京へ帰ってしまった。東京に着いてから忘れものに気づいたが、会議の時間が迫っている。このお客さまから電話を受けたリッツ・カールトンの従業員は、すぐに書類を持って新幹線に飛び乗り、なんと東京まで届けに来てくれた。その結果、お客さまは会議に間に合い、従業員の対応にいたく感激した……。

こんな対応も、現場裁量があればこそ。上司にいちいち確認していたら会議に間に合わなかったかもしれませんし、経費のことを気にしていたらそもそも即座に対応できなかったでしょう。結果、お客さまに感動を与えることはなかったはずです。

お店や施設の居心地の良さを出すならマニュアルよりも現場裁量

では多額の予算を設けて従業員に決裁権を与えればいいのかというと、そんなことはありません。予算がなくても、従業員の現場裁量を大きくすることで、お客さまの満足度を高めることは可能です。

たとえばコーヒーチェーンのスターバックスには、チェーン店に必ずある「接客マニュアル」がありません。「お客さまにどう喜んでもらえるか」という目的に合致すれば、従業員1人ひとりが自ら考えて接客していいということになっています。

したがって従業員は、普段からお客さまをよく見ていなければなりません。そのうえで、自ら考えて、お客さまに喜んでもらうためにアクションを取る。そういった「現場裁量」の積み重ねが、スターバックス独特の「居心地の良さ」を生んでいるのでしょう。

マニュアルに縛られたお店では、あの居心地の良さは決して出せません。「注文はハンバーガーとコーヒー、以上です」と言ったのに、「ご一緒にポテトはいかがですか?」などとマニュアル的な対応をされると、カチンとくることがありますよね。

マニュアル重視の対応では、お客さまの視点、お客さまの思いがどうしても置き去りにされてしまいがちなのです。


現場裁量を大きくするために最も大事なのは「理念の共有」

さて、現場の裁量を拡大する際に、何から始めればいいでしょうか。それは、会社の理念を浸透させることです。

リッツ・カールトンは「ゴールドスタンダード」、スターバックスは「Our Mission and Values」といった、企業活動の根幹を成す企業理念やミッションといったものを設けています。そして、その理念を形骸化させることなく、従業員1人ひとりの中に浸透させています。

スタッフに理念が浸透し、目的を共有しているというベースがあるからこそ、大きな現場裁量を与えて自由にやらせたとしても、大きなズレや問題が発生することは少なくなり、高度なサービスが提供できます。結果、大きなクレームは起こりにくくなるのです。

理念を浸透させ、志を共にする仲間を得て、現場の裁量を拡大する。これがクレームを減らし顧客満足を高めるための大きなポイントといえます。

【関連書籍】
 


この記事を監修をしたのは
地村健太郎(ちむらけんたろう)
地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
〒143-8530 東京都大田区平和島1-1-2 NTTロジスコ平和島物流センタ7F
URL.http://claim-csos.com/

0 件のコメント:

コメントを投稿