公立学校は「モンスターペアレント」のクレームにどう対応するべきか?|クレーム対応ドットコム公式サイト

2018-03-20

C-SOS
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公立学校は「モンスターペアレント」のクレームにどう対応するべきか?


昨今は「モンスターペアレント」からのクレームに苦慮する学校が増えているようです。学校の教職員はモンスターペアレントに対してどのように対応すればよいのでしょうか。一つの対策として、外部の専門アドバイザーに相談するという方法があります。

企業はお客を選べる。学校は生徒を選べない

クレーム対応において、企業と学校で大きく違う点があります。それは、公立学校は生徒を選べないという点です。

企業ならば、クレームを付けてきた相手が悪質なクレーマーだと判断したら、その要求をはねのけることができます。つまり企業はお客様を選べるわけです。私立学校や塾などでも、「当校の方針に従えないなら退学しても構いません」と厳しい態度を取ることはできるでしょう。

しかし公立学校では、そのようなことはできません。生徒側には転校するなどの選択肢があっても、学校側には特定の生徒を受け入れないという選択肢は与えられていないのです。

「何を言っても辞めさせられることはない」というこの状況が、一部の保護者を増長させ、「文句を言ったもの勝ち」のモンスターペアレントを生んでいるのかもしれません。

モンスターペアレント対策に、外部の専門家を活用するという方法

教育サービスの提供を拒否することができない学校にとって、不当な要求を押しつけてくるモンスターペアレントへの対応は実に難しいことなのです。

そこで私たちC-SOSとして提案したいのは、保護者からのクレームに対応するアドバイザーとして、外部の専門家を活用するという方法です。時には学校と保護者との話し合いの場に、第三者としてアドバイザーが参加することも効果的です。

実際にC-SOSではいくつかの学校と連携し、そのような取り組みをスタートさせています。

その結果、クレームへの対応がスムーズに行われるようになったという効果が現れています。なかには、普段は10時間かかっていた対応が3時間に短縮できたというケースもあります。実際にどんな対応をしているのか、いくつかの事例を紹介しましょう。

【C-SOS対応事例1】保険でカバーできない治療費や交通費を要求

中学3年生の生徒Aが校内の廊下を走っていて、生徒Bとぶつかり、Bがむち打ち症になるケガをしました。学校はBを速やかに病院に連れて行き、治療費に関しては学校の保険を使って対処をしました。

しかし、Bの保護者は学校の対応に納得いかないようです。治療が終わったと病院で判断されて保険金の支払いが確定してからも、体調が思わしくないと言ってはマッサージに通い、その施術費やタクシー代を学校側に要求してきました。

「ケガをしたのは学校の責任だから、治療費を払うのは当たり前だ」と主張する保護者に、教頭はNOとは言えず、困り果てていました。

この場合、学校としてはすでに責任を果たしています。治療費については保険会社と保護者の間で話し合うべき事項です。

そもそも事故の原因は、生徒Aが廊下を走っていたことにあります。中学3年生ともなれば、小学生とは違い、廊下を走れば危険なことくらいは理解できるはず。損害賠償を請求するならAにするのが筋でしょう。

そのようなことを踏まえて、「生徒Bの保護者が要求する治療費に対しては断るべき」とC-SOSは、学校にアドバイスをしました。

学校は最初から中立的な立場として振る舞えばよかったのです。加害者・被害者の仲介者のような立場で振る舞ってしまったために、怒りの矛先が、より文句を言いやすい学校に向かってしまったのです。

【C-SOS対応事例2】持病生徒のリストを他の生徒に見られた!?

その学校では、持病のある生徒に対して、給食時や体育時に注意を払ってもらおうと、該当生徒のリストを教員に配布していました。ある時に教員が、そのリストを手に持ちながら他の生徒と話をしているのを、当の持病を持つ生徒が見かけました。

生徒の保護者からはすぐに、「自分の子供の持病を他の生徒に知られたかもしれない。個人情報の漏えいだ!」とクレームが入りました。学校は丁重に謝罪しましたが、保護者はカンカンに怒っていて、なかなか許してくれません。

これは教員の不注意であり、保護者の言い分は正当です。平身低頭して謝るしかない。しかし、ただ謝るだけでは誠意のない対応と思われてしまいます。

そこで、問題が起きた原因を明らかにするとともに、今後の対応策についても速やかに決定し、その結果を書面で提出する。といった一通りの手順をアドバイスしました。

このような手順は企業ではごく当たり前のものですが、学校というある意味で特殊な組織にとっては、当たり前にできないこともあるのです。

本来の教育に全力を注いでもらうために

企業では「お客様相談センター」などの窓口を設け、専任の担当者が問い合わせやクレームに対応をしています。しかし、公立学校がそのような窓口を設けることは難しいでしょう。

だからといってクレームの窓口を、専門のスキルを持ち得ない担任の教員や教頭・校長に任せたままでいいのでしょうか。

もちろん、授業についての不満など、教員が受けるべきクレームもあります。しかし現状は、「クラス分けで、特定の子供とは別のクラスにしてほしい」「風邪で休んだから運動会をもう一度やり直して」などという、理不尽なクレームにも教員が対応しています。

教員はクレーム対応のプロではないので、スムーズに対処できるとは限りません。本職とは違う業務に労力を費やすのは、教員にとって大きな負担です。それは教育の質の低下につながり、生徒にとっても保護者にとってもマイナスです。

教員が本来の仕事である教育に対して全力を注げるように、クレーム対応という側面からサポートする。これは社会的にも非常に意義のある取り組みといえるのではないでしょうか。


 


この記事を監修をしたのは
地村健太郎(ちむらけんたろう)
地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
〒143-8530 東京都大田区平和島1-1-2 NTTロジスコ平和島物流センタ7F
URL.http://claim-csos.com/

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