どう対応する?「東京ディズニーリゾート・オフィシャルホテルの結婚披露宴で集団食中毒」|クレーム対応ドットコム公式サイト

2017-06-06

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どう対応する?「東京ディズニーリゾート・オフィシャルホテルの結婚披露宴で集団食中毒」

平成29年5月30日(火曜日)午後2時頃、松戸市内の住民から「5月28日(日曜日)の浦安市内のホテルで行われた結婚披露宴の参加者に、下痢、嘔吐、発熱等の症状を呈している者がいる。」旨の連絡が市川保健所にあり、調査を開始した。調査の結果、5月28日(日曜日)に浦安市内のホテル「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」で結婚披露宴に参加した4グループ240名のうち4グループ34名が下痢、嘔吐、発熱等の症状を呈していたことが判明した。
患者に共通する食品は、当該施設が提供した食事に限られており、患者及び従事者の便からノロウイルスが検出されたこと、患者の発症状況がノロウイルスによるものと一致したこと及び医師から食中毒患者の届出があったことから、本日、市川保健所長は、当該施設を原因施設とする食中毒と断定し、営業停止処分を行った。~千葉県:食中毒の発生について(平成29年6月2日)
http://www.pref.chiba.lg.jp/eishi/press/2017/shokuchuudoku/h290602.html

「飲食店と食中毒」切っても切れない関係

飲食事業での基本的な管理行為の一つとして衛生管理があげられます。しかし、毎年のように食中毒における事件が報告される通り、絶対に無縁となることなどできないのが飲食事業と食中毒の関係です。

食中毒はクレーム対応ではなく危機管理として捉える

「クレーム対応」がお客さまの声に真摯にお応えする顧客満足(CS)の分野であるとすれば、食中毒が起こってしまった場合、その後の事業に大きな影響を及ぼす可能性があるので危機管理の分野として捉えることが必要でしょう。

食中毒の初期連絡の経路

・直接お客さまから連絡がある
・お客さまが受診したお医者さんから連絡がある
・お客さまが通知した保健所から連絡がある

これらから連絡がきた際、お店側は次の行動が必要になります。

・被害を受けたお客さまへの連絡とお見舞い
・お客さまの被害状況の確認
・食中毒が発症した状況の事実確認
・原因の特定
・保健所への連絡・調査(保健所からも含む)
・医師による診断結果の確認
・対外的な情報発信
・対策の実行と検討

では、これらの観点で、被害に遭われたお客さまの目線から、クレーム対応について考えてみましょう。

まずは被害に遭った方々への安否確認

食中毒の連絡がどの経路であったとしても、そのホテルやお店で食事をして被害を訴えているという現実があります。お客さまは、ひどく苦しんでいらっしゃるでしょうから、何らかの形で連絡は取りたいものです。

お客さまが特定出来たら、まず電話で「大変な苦痛の中、ご心労をお掛けし大変申し訳ありません。」と、お見舞いの言葉を掛けましょう。ここでは「痛みの中で不安な思いをさせていること」にお詫びを入れることで、お客さまに落ち着いて頂く対応が必要です。

また、原因が特定されていない中で、被害に遭われたお客さま宅などへ謝罪に向かう場合、訪問者が保菌者という可能性、お客さまとの接触自体で問題が拡大する恐れを考慮しなければなりません。

ファーストコンタクトを電話としたのは、原因が不明の中で、細心の注意を払うからに他なりません。

その後は、保健所の調査に協力しながら原因を特定し、店側に非があることが認められれば、改めて謝罪や賠償といった流れになっていきます。

結婚披露宴における食中毒の対応

今回のシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルでのケースでは、結婚披露宴という状況がクレーム対応をさらに複雑にさせます。

まず、その関係者を考えてみましょう。

・被害に遭った当事者
・結婚披露宴の主催者である新郎新婦
・その親族や友人、同僚
・今後披露宴を控えている方々

結婚式は人生の中でも大切で重大なイベントであり、そこでの食中毒となれば、事件以上にその関係者への印象は悪くなります。

【新郎新婦】
人生の重大なイベントに傷を付けられ縁起が悪い。
参列者に被害が出ていれば、祝いの席で大変な思いをさせてしまったことを悔やみ、多額の費用をかけたのに食中毒が起きたということに深く落胆している。

【親戚】
晴れの舞台を台無しにされたことに憤る。

【友人や同僚】
新郎新婦の今後の関係性を心配する。

【他のお客さま】
今後その会場で披露宴を控えている方々は、自分たちは大丈夫かと心配する。

このような関係各位の不安や怒りを解消することが、結婚披露宴でのクレーム対応のポイントです。

取り返しのつかない状況をどう解決するか?

ここでは、原因も特定され実際に会場に非があることが確定した状況での対応を考えてみます。

既に式も終わり、落胆した新郎新婦にはお詫びの言葉すら掛けられないのがホテル側の本音というところでしょう。通常の食事と違い、披露宴をもう一度行うことは困難でしょうし、2度行うことを了承してくれる新郎新婦がいるとは思えません。

金銭面の解決のその先にあるものが重要です。

ここで考えてほしいのは、金銭を支払う交渉の中で、お客さまと険悪な関係で終わるか、お客さまに「ありがとうと」言ってもらえるかで、ホテルの印象は大きく変わります。

新郎新婦は、参列した親戚や友人、同僚の状態も気になっています。さらに、皆さんが無事検査を受けられて、治療を行い、その後回復された後、お詫びの連絡を入れなければいけません。

ホテル側は、このような新郎新婦に対して可能な限りのサポートを行うべきです。そして、被害を受けた方々全員が無事回復されて、日常を取り戻し、新郎新婦も参列者に顔向けできる状況にすることが、理想ではないでしょうか。

一方で、「披露宴を控えている方々」や「披露宴をシェラトンの会場で」と考えていた方もいらっしゃいますから、対外的に原因と対策を公表することが必要です。

今回のシェラトンから公表された文面では、謝罪はありましたし、原因となったノロウィルス保菌者(従業員)への対策として、今後の健康管理に言及されています。

もし、1つ付け加えるなら、シェラトンでの披露宴を検討している方々の不安を解消する事を目的として、より具体的な健康管理方法を示すことが「真摯な対応」として映ると考えられます。

金銭的解決を除いて、「クレーム対応」にはやりすぎということはないと言えます。お客さまはひどく不安であり、「これくらいで良いのでは」と、甘く見ないことが重要と言えそうです。


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この記事を監修をしたのは
地村健太郎(ちむらけんたろう)
地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
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