多発する食品の異物混入「商品を回収する?しない?」判断が分かれた亀田製菓とローソン|クレーム対応ドットコム公式サイト

2017-05-31

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多発する食品の異物混入「商品を回収する?しない?」判断が分かれた亀田製菓とローソン

多発する食品の異物混入

亀田製菓(新潟市)の煎餅を食べた大崎市の小学2年の女児(7)が、混入していた金属片で口の中を切るけがをしていたことが23日、分かった。金属片は機械の洗浄に使う金ブラシの一部という。同社は女児側に謝罪したが、被害は拡大しないと判断し、商品全体の回収や公表を見送った。~河北新報より

ローソンによりますと、今月18日、青森県内の店舗でこの商品を購入した客から「爪のような異物が混入している」という連絡があり、縦およそ1センチ、横6ミリほどの異物が確認されたということです。ローソンは成分を分析するとともに、同じ時期に同じ中国の工場で製造された商品を自主回収することを決めました。~NHKニュースより

同時期に食品への異物混入事件が大きく報道されています。双方、商品の中に異物が混入しており、口にした消費者がそれに気づいて申し出たとのこと。

現時点において、亀田製菓は、子供が食べたお菓子に金属片があり、歯茎をケガしたが、再発はないとして、商品回収を行わない方針。

一方のローソンは、サラダチキンにツメのような異物が入っていた。健康被害やケガはなかったが、 同時期に製造された商品を自主回収すると決めた。

異なる2社の対応

このように、2社の対応は大きく異なりますが、同じような事件が起きた場合、理想のクレーム対応としてはどのようにするのがベターなのでしょうか?

2次被害まで想定が必要な食品における異物混入

異物混入時の基本的なクレーム対応の想定として、次の2方面への対応が必要になります。

・被害当時者(連絡をしてきた方々)
・今後被害を受ける可能性のある消費者

亀田製菓のケースでは、実際にケガをされた子供、それを連絡してきた父親が被害当事者となります。

そして、同一品種を大量生産するような菓子・食品メーカーにおいては、商品に異物が混入したという状況からは、同じような被害が起こる可能性を想定する必要があります。

つまり、今後被害を受ける可能性のある消費者への対応を検討する。具体的には、商品回収や注意喚起といった形で見えてくるのですが、今回の亀田製菓とローソンの対応は、一方は未回収、もう一方は回収と大きな違いとなって表れてきたわけです。

今の一般消費者を舐めてはいけない

近頃では、危機管理を題材としたドラマが放送されるなど情報が得られやすくなり、一般消費者の安全への意識も高まっています。また、スマホやSNSが普及しているので、隠し事は何らかの形で表沙汰となります。

今は、1億総発信者の時代です。ネガティブな情報は、もう隠せない時代だという前提で対処を考えるべきです。

異物混入については、食品メーカーが特に気を配る項目の一つであり、金属探知機などをラインの工程に設けるなどの対策は珍しくありません。今回のケースでも、ニュースで事件を知った一般消費者の皆さんはこう思ったのではないでしょうか。

『ちゃんと異物混入の検査をしていたのか?』
『金属探知機を導入していないのか?』等々

少なくともこのような基本的な疑問にメーカーからの回答が欲しいということになります。亀田製菓のケースでは、被害者の父親が「他にも混入の可能性があり、非公表はおかしい」旨のコメントを出しています。

まさにその可能性についてメーカーは見解を示すことが望まれたものと考えられます。

広報の遅れは致命的な問題に発展する可能性が高い

食品メーカーは、長い年月をかけて一般消費者に『安心・安全』で美味しい食品を提供している会社との認識を築き上げていきます。これが信頼であり、ブランドと呼ばれることもあります。

しかし、そのブランドの失墜は一瞬で起こり得ます。ミスは完全には防ぎきれないでしょうし、それは一般消費者も理解していますから、ミス自体を一時的に問題視されたとしても、それ自体が会社の屋台骨を揺るがすほどの事態になることは稀です。

問われるのは、その会社の姿勢であり、行動力に他なりません。事件が発生した初期の段階では、やはり適切な情報発信が必要であり、マスコミ報道よりも遅れて広報するとその会社の姿勢について一般消費者に多くの疑念を持たせることになります。

異物混入における最善の対処方法は何か

今回のケースにおけるクレームは、『不安』に基づくものといえます。これを取り除くための手段を講じることが最善であったと考えられます。

事件が発生した段階、自主回収を進めると決めた段階、原因が突き止められた段階、他の商品には問題が広がらないことが認められた段階など、自主的に情報を提供し、一般消費者を安心させてあげることが何よりも大事なのかと考えます。


 



この記事を監修をしたのは
地村健太郎(ちむらけんたろう)
地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
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