
新人が最初に覚えるべきクレーム対応、2回目となる今回は、「対応スピード」について考えます。クレームが発生した時に、迅速に処理できればそれに越したことはありませんが、単に対応が速いだけではお客さまを不安にさせてしまうこともあります。一体どこに問題があるのでしょうか?
スピード対応だけではダメな時がある
C-SOS(シー・エスオーエス)が実施した「消費者クレームに関するアンケート」によれば、お客さまから寄せられた「クレーム対応で感動した」理由の第4位は、「迅速に対応してもらった」でした。クレーム対応において「スピード」は、非常に重要なポイントです。とはいえ、スピーディーに対応すれば、それですべてOKではありません。確かにスピード感はあるけれども、なんとなく不安にさせられる対応もあります。たとえばレストランで、こんなシーンを見たことはありませんか?
お客さま「頼んだ注文がまだ来ていないんですけど」
店員「はい、少々お待ちください~」(と足早に去って行く……)
店員としては、お客さまのかけた言葉にすばやく返答をしたつもりです。しかしお客さまは、「この店員、私の言ったことわかっているのかな?」「本当にオーダー通っているのかな……」などと不安になってしまいます。
「相手の言ったことを理解した」と示すことで不安を解消させる
お客さまが不安になった理由は、店員の対応が流れ作業のようにおざなりであったため、「自分の要求をきちんと受け容れてもらえたのだろうか?」という疑心暗鬼な気持ちになったからです。人は誰でも「自分のことを認められたい」という承認欲求を持っています。「相手に自分の意思を伝えたい」という気持ちもその一種。レストランなどで店員が注文内容を繰り返すのも、「あなたの注文をちゃんと受け取りましたよ」と伝えて、お客さまの承認欲求を満たす作業といえます。
スピード対応は大切なことなのですが、ただ速ければいいのではありません。「お客様のおっしゃったことをきちんと聞いていますよ」との確認作業の後で、「これから速やかに作業に入りますよ」としなければ、せっかくのスピードも台無しになってしまいます。
確認作業があれば、お客さまのイライラは和らぐ
先のケースでいうなら、お客さま「頼んだ注文がまだ来ていないんですけど」
店員「申し訳ありません。ご注文は和風ハンバーグですね。ただいま確認して参ります」
こうすればお客さまは、「よかった。オーダーはちゃんと通っているんだ」「混雑しているから仕方がないか」と、待たされているイライラも和らぐわけです。逆に、直ぐさま返答されたはいいけど、本当に伝わっているのかどうか確証が持てないままでは、イライラは続くことになります。
どんなクレーム対応の現場でも同じです。クレームはその場で迅速に処理するのが理想ですが、それができないことも多々あります。そんな時でも担当者は、お客さまに言われたことをきちんと理解して、当事者として責任を果たそうとする姿勢をまずは見せるべきです。
新人であっても、お客様の言葉をオウムのように返すことは難しくありません。その上で、「その件に関してはすぐに確認して折り返しご連絡します」「上司に相談しますので、15分ほどお待ちいただけますでしょうか」などとひと言添えるだけで、お客さまは「問題は解決に向かって進んでいるんだ」と実感できるのです。
【関連書籍】
この記事を監修をしたのは

地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
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〒143-8530 東京都大田区平和島1-1-2 NTTロジスコ平和島物流センタ7F
URL.http://claim-csos.com/
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