
お客さまの言っていることが必ずしも「事実」とは限らない
クレームを言うお客さまに対応する時、誰でも動揺したり焦ったりして冷静に話を聞けないことがあります。そのために誤った対応方法をとってしまい、大きな問題に発展することも。では、どのような点に注意してお客さまの話を聞けばいいのでしょうか。クレームが来たらすぐに謝罪すればいいのか?
例えば飲食店でハンバーグを提供した時に、お客さまから、「ハンバーグが熱すぎて口がやけどしたじゃないか。治療費を出せ!」というクレームがあったとします。こんな時、新人のみなさんならどうしますか?まずはお客さまの身体を気遣い、おしぼりや水などを持っていく、というのが最初のステップとしては正しいでしょう。
問題はその次。
「大変申し訳ありませんでした」などと謝罪してしまったら、その対応は正解とはいえません。
なぜなら、やけどをした原因がハンバーグにあったのか、提供したハンバーグが本当にやけどをするほど熱かったのかなど、この時点ではまだわかっていないからです。
それなのに謝罪をしてしまったことで、店側の過失を認めることになってしまいます。状況をきちんと確認する前に、安易に謝罪をすることは避けるべきでしょう。
ハンバーグが熱いのは、“意見”であって“事実”ではない
では、どうするべきでしょうか。お客さまの話をよく聞いて、話のなかにある“事実”と“意見”をきちんと見極めることです。この場合、お客さまの話す「口をやけどした」はおそらく“事実”といえます。
一方で「ハンバーグが熱すぎる」は、あくまでも“意見”です。同じ温度でも「熱すぎる」という人もいれば、「そんなに熱くない」という人もいて、感覚は人それぞれだからです。
話のなかで、どれが“意見”で、どれが“事実”か。そこを切り分けて、“事実”だけを積み上げていく必要があります。
事実だけを整理することで、ハンバーグとしては、「考えられないような温度」だったのか、あるいは「お客さまの感覚」によるものなのか、やけどするような「不注意な食べ方」をしていたのかなど、根本的な原因が見えてくるのです。
クレームを受けて上司に相談する際も、お客さまの発言のなかにある事実と意見をきちんと分けて報告することが、その後に適切な対応をするためにはとても重要になります。
意外に多いお客さまの勘違いや思い込みのクレーム
お客さまが勘違いしている、ということもよくあります。先日もこんなことがありました。ある時、お腹の調子が非常に悪くなりました。思い当たる節はあります。一昨日、飲食店で「鶏の生レバー料理」を食べたのです。
「あの鶏レバーが新鮮じゃなかったのか、それとも衛生状態が悪かったのか……」。お店にクレームを入れる前に、まずは病院に行きました。
ところが医師に診察してもらうと、「これは鶏レバーによる症状ではない」と断言されてしまったのです。そして、「周りに胃腸炎にかかっている人はいませんか?」と聞かれて、ハッとしました。
数日前、子どもが胃腸炎にかかっていたのです。自分の腹痛も、それが感染したものでした。あやうく自分の勘違いで、お店にクレームを入れてしまうところでした。
「“事実”と“意見”は違う」という前提で話を聞くこと
このように勘違いや思い込みでクレームが来るケースはよくあります。そんな時も、対応する担当者が「どのような症状だったのか」「医師の診断ではどうなのか」などと、“事実”に注目して状況を確認していけば、お客さまの勘違いや思い込みであると気づくことができます。
新人のみなさんが、お客さまの話から“事実”と“意見”をきちんと見極めて、正しい対応するということは、なかなか難しいかもしれません。
しかし、「お客さまが勘違いや思い込みをすることはある」「事実と意見を混同しているケースはある」と頭に入れておくことできるはずです。その意識があるだけでも、いざという時に冷静に話を聞けるのではないでしょうか。
【関連書籍】
この記事を監修をしたのは

地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
代表取締役社長
〒143-8530 東京都大田区平和島1-1-2 NTTロジスコ平和島物流センタ7F
URL.http://claim-csos.com/
URL.http://claim-csos.com/
0 件のコメント:
コメントを投稿