「AI」この2文字をメディアで見ない日がないというくらい、世間の注目を集めているICT関連のキーワードです。
AIの概念自体は昔からありました。しかし昨今「ディープラーニング」という新たな手法が搭乗し、さらに「ビッグデータ」が活用できるようになったことで、AI技術も急激に発展し、ビジネスのいろいろなシーンでも活用されるようになってきました。
そんなAIがオフィスの生産性向上にも役立てられようとしています。
データの分析からわかった、休憩時間と生産性の関係
2014年に出版されて話題になった本に、『データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』(矢野和男著/草思社)があります。人間の日々の活動をウエアラブルセンサで詳細に記録し、そこで得たビッグデータを分析することで、人間や社会に見られる「法則性」「方程式」を探る、といった研究を紹介した本です。
本書ではいろいろな興味深い研究が明らかにされていますが、ここではコールセンターを舞台にした実験についてご紹介しましょう。実験が行われたのは、電話をかけてサービスを売り込む、アウトバウンド型のコールセンターです。
電話オペレーターや、その監督者、サポートをするスーパーバイザーなどに名札型のウエアラブルセンサを装着させ、勤務時間中のそれぞれの動きを分析。合わせて、性格を把握するためのアンケート調査も行われました。
そして蓄積した日々の活動データのなかから、受注率と相関関係がある事象は何かと探ったところ、次のような仮説が浮かび上がってきたのです。
「休憩所で会話が活発に行われている日は受注率が高い」
この分析が正しいのかを確かめるため、今度は「同世代の4人のチームで休憩を同時にとらせる」という施策を行いました。すると、休憩時間の会話は非常に活発になり、受注率も13%向上する結果となりました。
また、顧客からの問い合わせに対応するインバウンド型のコールセンターでも同様の実験を行ったところ、休憩時の活発度が生産性向上につながっているという結果が出ています。
ほかにも本書では、収集したビッグデータをAIに分析させ、業績向上に結びつく顧客や従業員の行動を探るといった研究も紹介しています。
ビッグデータとAIを使えばクレーム対応の質が向上する
今後、クレーム対応の現場にも、このようなビッグデータやAIを使った施策が導入されることになるでしょう。「AIオペレーターが直接クレームに対応する」というのは、技術的に少し難しく、人間の感情的にも受け容れがたいかもしれません。
しかし、AIを利用してコールセンターの生産性を高める方法なら、いくらでも考えられますし、技術的にもハードルは高くはないでしょう。
たとえば、顧客の生年月日やこれまでの対応履歴から性格を分析し、さらに、入電があった時の声の調子から気分の高ぶり具合を検知。そのうえで、現時点で最も適切な対応方法や使うべき言葉を、リアルタイムにオペレーターに指示する……というようなAIクレーム対応アドバイザーが登場するかもしれません。
AIとビッグデータを活用することで、クレーム対応の質が向上し、オペレーターの労働生産性が向上する。そんな未来は遠くはないはずです。
この記事を監修をしたのは
地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
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〒143-8530 東京都大田区平和島1-1-2 NTTロジスコ平和島物流センタ7F
URL.http://claim-csos.com/
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