「社内の常識は、世間の非常識」とよく言われます。つまり、会社内では当たり前と思われている習慣やルールが、世間の目から見れば「非常識」に映ることもあるということ。社内の常識と世間の常識を混同してしまうと、大きなトラブルに発展することもあります。
月会費を間違って引き落としたミス!信じがたいコールセンターの対応
ある時、インターネット上で映像を配信するサービスを提供しているA社で、コールセンターでのクレーム対応がスムーズに解決されず、こじれてしまったケースがありました。会員だったお客さまがサービスの解約を申し出た時のことです。担当者は解約の手続きを完了したのですが、ちょっとした手違いから、解約した後も2回ほど、月会費が銀行口座から引き落とされていました。
お客さまはA社のコールセンターに電話をし、誤って引き落とした分を返金するように依頼しました。お客さまの申し出は当然のことと思えます。
しかし、A社の対応はなんとも非常識なものでした。オペレーターは誤って引き落としたことを認めて謝罪しつつも、「現金をお返しすることは致しかねますので、クオカードで返金いたします」と答えたのです。
社内の常識(規程)で対応したために大きなトラブルに発展
お客さまは驚いて、「いやいや、お金を間違って引き落としておいてクオカードで返すはないだろう。現金を返してくれ」と主張しました。しかし、オペレーターは「規程によりクオカードでしか返金できません」の一点張り。
らちが明かないと考えたお客さまは、オペレーターの上司を出すように言いました。そしてオペレーターの上司が替わって電話に出たのですが、答えはやはり同じ。「クオカードでしか返金できません」
お客さまは当然、納得することができず、大変立腹しました。そして「親会社の責任者を出せ」と要求するなど、問題が複雑化してしまうことになったのです。
その後も揉めに揉めて、どうしようもなくなってから、クレーム対応サービスを専門としている当社(C-SOS)に相談が来ました。
当社では即座に、お客さまにいくらか慰謝料を上乗せしたかたちで返金し、「クオカードでしか返金できない」というおかしなルールも撤廃するよう提案しました。常識的に考えてみれば当たり前の対応なのですが……。
クレーム情報を外に出せば、いい効果が生まれる
契約終了の手続きをしたのにお金を引き落としていたのは、明らかな会社側のミスです。会社がミスした以上、きちんと返金対応するのが法律的にも常識的にも当然のこと。それなのに組織の上から下まで「社内ルールを守る」という意識が強すぎたあまりに、お客さまにとっては極めて失礼な対応を取ることになってしまいました。「会社の常識が世間の非常識」になっていることが悪い方向に作用した典型的な例といえます。
この事例から教訓としたいのは、「クレームを外に出そう」ということです。
Step1.現場から部門へ
Step2.部門から経営へ
Step3.経営から社外へ
現場で発生するクレームは、部門に上げて問題解決の事例に、部門で集約したクレームは経営に報告してサービス改善に、経営に集まったクレームは、社外へ出して...?
クレーム対応業務について社外の専門的サービスを利用すれば、商品やサービスの内容、業務の進め方などを、第三者の公正な視点でチェックし、評価してもらうことができます。
クレーム情報のなかから商品・サービスの改善や新商品開発につながるアイデアを拾い出すことも、プロフェッショナルに任せた方が効果的に行えることでしょう。クレームをビジネス資源と捉えて、上手に活用している企業の多くが、クレーム対応のアウトソーシングサービスを利用しているのは、そういう理由からなのです。
この記事を監修をしたのは
地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
代表取締役社長
〒143-8530 東京都大田区平和島1-1-2 NTTロジスコ平和島物流センタ7F
URL.http://claim-csos.com/
URL.http://claim-csos.com/
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