クレーム対応の際、謝罪の言葉だけでなく、問題が起こった原因や今後の改善策について説明しなければならないことがあります。ただしそれはお客さまが望んでいる場合です。
クレーム対応のいい印象が一転した出来事
先日、ある店に弟と一緒にケーキを買いに行きました。弟の方が少し先に店に入り、商品をいくつか選んで注文していたところに、遅れて私が到着。私もいくつかの商品を選び、弟が注文した分とあわせて「会計は一緒で」と伝えました。別々に注文して会計は一緒にしてしまったことで、混乱を招いたのかもしれません。商品の入った紙袋を受け取り、家に帰っていざ食べようと思ったら、弟の注文した分が同梱されていなかったのです。
翌朝になってお店に電話をすると、店員から丁寧な謝罪と提案があり、すぐさまクルマで20分ほどかかる自宅まで商品を届けてくれました。しかも、もらい忘れていた商品だけでなく、お詫びの品も用意してくれていました。店員は「申し訳ありませんでした」と平謝りでした。
こちらとしては、それほど怒っているわけではないし、特別何か要望を出したわけではありません。むしろ「わざわざ届けてくれて悪いな」「今度もこのお店で買おう」とお店の対応にとてもよい印象を抱いたのですが、その後の店員の言動によって、その気持ちが台無しになりました。
謝罪とともに始まった店員の言い訳
商品を届けてくれた後、聞いてもいないのに私たちの前で店員がくどくどと言い訳を始めたのです。「いやー、あの時は閉店間際でバタバタしておりまして……」「もう1つの袋を渡そうとした時に、お客さまがいらっしゃらなかったもので……」
……ん? それは暗にこちらが悪いということを言いたいのかな? そんな言い訳をすることに何か意味があるの?
しばらく話を聞いていたのですが、問題の原因や今後の対応策について説明するわけでもなく、ただその時の店側の状況を延々と話す店員の態度にだんだん腹が立ってきました。彼が帰るころには、「もう二度とあの店では買わない」と決意することになりました。
せっかくのいい対応が「蛇足」で台無しに
「蛇足」という言葉がありますよね。ヘビの絵を描く競争をしていて、先に描き上げた人がおまけに足まで描いていたら負けた……という話に由来した言葉です。クレーム対応においてもまさに余計なおしゃべりは「蛇足」で、時には「マイナス材料」にもなるものといえます。商品を渡し忘れたことを謝罪してもらって、お詫びの品までくれた。そこまでで私は十分に満足していた。店の「ファン」になりかけていたのです。
それなのに、今後のトラブル防止とは縁のない言い訳のような説明をくどくどと披露されてしまったことで、ファンの正反対の「アンチ」になってしまいました。
もちろん、迷惑をかけたお客さまに対して、トラブルの原因やその時の状況説明は、基本的には必要でしょう。しかし、今回の場合は、謝罪したことでお客さまが納得しているようなら、それだけで対応は十分なのです。
もし、謝罪以外の話をするなら、今後の改善策・防止策といった具体的な問題解決の話ならお客さまも耳を傾け、不快な思いを抱くことはないと思われます。
せっかく迅速に行動をしても、ちょっとした”余計なひと言”で、お客さまの心証を悪くしてしまうこともある。クレーム対応に携わっている人は注意しておきたいところですね。
この記事を監修をしたのは
地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
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〒143-8530 東京都大田区平和島1-1-2 NTTロジスコ平和島物流センタ7F
URL.http://claim-csos.com/
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