「クレームを経営に生かす」などと言われますが、現場の最前線で働いている従業員はそのような意識を持っていない場合もあります。クレーム情報が現場内に留まって、他部門や経営層に共有されないと、思わぬ弊害を招くこともあるのです。
クレームが多発するも、根本的な原因は不明
苦情やクレームは消費者がダイレクトに届けてくれた「本音」「ニーズ」であり、サービスの改善や新商品開発につながる重要なヒントになるものです。それが「クレームは宝」「クレームはビジネス資源」などと言われるゆえんです。クレームをマイナスの存在ととらえて、現場で穏便に処理できればそれでいいなどと考えていると、「宝の持ち腐れ」になってしまうこともあります。
例えばこんなケースがあります。インターネットを利用して映像を配信するサービスを提供するA社のお客さま相談室には、あるクレームが何度か上がっていました。
A社の映像サービスを利用するためには、セットトップボックス(STB:映像チューナー)をテレビに接続する必要があるのですが、「マニュアル通りにSTBを設置したのに映像が映らないことケースある」というクレームが発生していたのです。
お客さま相談室の担当者は、お客さまに配線を確認してもらったり、設定を変えてもらったりといった対応で改善を図っていましたが、根本的な原因がどこにあるのかは全く明らかになっていませんでした。
現場を見たことですぐに問題の原因がわかった
「正しく設置しているのに映像が映らないという」クレームが何件か続いたことで、A社から当社(C-SOS)に相談がきました。当社は、お客さま相談室に技術スタッフを配置し、問題があった時には現場を訪問することを提案しました。そして、同様のクレームが発生した時に、お客さま相談室の担当者と技術担当者が現場を訪問するということを何度か繰り返すうちに、あることが判明しました。
特定のテレビの機種とSTBの相性が悪く、お客さまがその機種を使っている場合には、正しくSTBを接続しても必ず問題が起こるということでした。
原因がわかったことで、同様の問題が起きた時にお客さま対応のスピードは迅速になりました。また、相性問題はすぐさま開発部隊にフィードバックされ、機種のバージョンアップの際には修正され、問題は起きないようになりました。
クレーム情報を社内で共有すれば解決策は見つかる
以前までは、クレーム情報を「お客さま相談室」の内部に留めていましたが、お客さま相談室に技術者を配置し、クレーム情報を開発部門、経営層などにもオープンにしたことで、問題の根本的な原因が見つかり、次の製品開発のヒントが見つかりました。この会社がたびたび起こるクレームについて「おかしい」と思わずに、以前のような対応を続けていたら、根本的な原因は判明することなく、お客さまからの信頼も少しずつ失われていくことになったでしょう。
クレームをマイナス材料ととらえて、「クレームは現場内で解決して当然」「他の部門に迷惑をかけずに解決しないと恥」などと考えていると、せっかくの改善につながる情報を埋もれさせてしまうことになります。
やはり「クレームは宝」ととらえて、社内の他部門や経営層にも展開し、ビジネスの付加価値を高めるための材料として使うべきなのです。
この記事を監修をしたのは
地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
代表取締役社長
〒143-8530 東京都大田区平和島1-1-2 NTTロジスコ平和島物流センタ7F
URL.http://claim-csos.com/
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