神戸製鋼・東レ・三菱マテリアルなどを反面教師に学ぶ「企業不正」のメカニズム|クレーム対応ドットコム公式サイト

2017-12-19

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神戸製鋼・東レ・三菱マテリアルなどを反面教師に学ぶ「企業不正」のメカニズム

神戸製鋼・東レ・三菱マテリアルなどを反面教師に学ぶ「企業不正」のメカニズム

2017年8月、神戸製鋼所がアルミ・銅製品などの品質管理データを改ざんしていたことが大きな話題となりました。大企業による不祥事や不正はなぜ起こるのでしょうか。そのメカニズムに目を向け、防止策を考えることは、クレームの芽を摘むことにもつながります。

神戸製鋼など名門企業による不祥事が次々と発覚

神戸製鋼所は、顧客企業との間で取り交わした仕様に適合していないにもかかわらず、データを改ざんすることにより、仕様に適合しているかのように装って製品を出荷していました。

同社の製品は自動車や航空機など幅広い分野に使われており、その影響が非常に大きいことや、データ改ざんが組織ぐるみで数十年以上行われていたことなどから、騒動はメディアで大きく取り上げられることになりました。

品質管理に関する不正は神戸製鋼のみならず、三菱マテリアル、東レといった日本を代表するB2B企業でも相次いで発覚。日本のものづくりへの信頼を揺るがす大きな問題に発展しています。

これらの大企業による不正に共通する原因は何でしょうか。いろいろな原因が考えられますが、一つには、「身内に対する甘さ」があったのではないでしょうか。

不祥事が生まれるきっかけは、企業風土の内向化

企業には同じような価値観を持つ人が集まっています。特に名門企業や大企業では、長年の歴史のなかで独自の価値観や習慣が形成されており、かつ組織の統率を取るために細かい規律が整っています。これが良くも悪くも働き、悪い傾向として現れれば、社員は顧客ではなく会社の方を見て仕事をすることになります。

たとえば神戸製鋼所の調査報告書によれば「収益重視の経営と閉鎖的な風土」ができあがっていました。そのため、自社が対応できる品質や生産量を超える受注が来たとしても、品質を落として対応し、データを改ざんして納入することが習慣化していました。

最初から不正を行っていたかというと、そうではないでしょう。おそらく最初は、というか今でも基本的には、現場社員は不正など行わず真面目に仕事をしているはずです。

ところがある時、何らかのきっかけで、ルールを逸脱するようなことが行われた。その時に「おかしい」と声を上げて制止しようとする者は表れなかった、もしくは誰も気づかなかったのだと推測されます。

おそらく社内に「この程度なら大丈夫」「顧客からクレームが来なければ問題ない」という空気があったのでしょう。

これが積み重なり、やがて『手抜き』が暗黙のルールとして定着してしまったのではないかと考えられます。現場社員は、「昔からやっているから」「上司もわかっている」と考え、当然のように『手抜き』を続けていたのでしょう。

こうしてデータ改ざんが習慣化されていて、自分たちが不正をしているという感覚さえも持っていなかったかもしれません。

企業不正の原因とクレーム発生の原因は似ている

同じような価値観を持った人が集まり、企業風土が養生されると、世間の常識として何か間違ったことが起こったとしても、内部にいる社員は組織の常識に流されてしまい、客観的に判断することができにくくなります。

こうして客観的に不正と思われるようなこと、世間の常識外にあるようなことでも、社内で当たり前のこととして行われていれば、現場社員は社内のルールの方を優先してしまうわけです。

クレーム対応でも、顧客の声が正しくとも、社内ルールでどうしてもできないということがしばしば起こります。

クレームが発生する原因についても、企業不正の発生原因と重ねて見ることができるといえます。


 

この記事を監修をしたのは
地村健太郎(ちむらけんたろう)
地村健太郎(ちむらけんたろう)
株式会社C-SOS
代表取締役社長
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